横風着陸(Crosswind Landing)を考える その2

ランディング

さて、その2は実践編です。
横風の中のアプローチでズレた状態からセンターラインに合わせつつ、機軸を合わせてランディングというややこしい操作を説明しようと考えていますが、その前に無風状態で解説をする方が理解が早いと思いました。

早速下記のイラストをご覧下さい。
少しぼやけていて恐縮ですが、下から上に飛行機が進みながらランディングをしています。実際にこのように大きく左にズレていては着陸もままならないのですが、説明のためにあえて大げさに表現しています。

単純に考えると簡単そうな操作も、しっかり考えてみましょう。
突き詰めてみると複雑です。
イラストと順番が逆になりますが、ご容赦ください。

①の操作は普通の旋回ですがバンク角が
0°→例えば3°→0°と変化します。

②の部分はバンク角0°の水平直線飛行です。最初のズレ(オフセット)が少ないときはこの部分は無く、全体的にはSターンになるでしょう。
次のインターセプト操作の開始タイミングを今か今かと待ち構える部分です。

③の部分はインターセプト操作です。
バンク角は0°→例えば3°→0°と変化します
センターラインに乗ったときに丁度バンク角がゼロであれば最適な操縦であったと言えます。

さて次はいよいよ左から横風が吹いていることを仮定します。
話の前提として、接地直前まで全てCrabによって横風に対処していると考えます。
従って先ほどの飛行機のイラストのHeadingが同じ角度だけ左に回転しているところがポイントです。(最後の接地を除いて)

横風が吹いているとややこしくなります。しっかり考えてみましょう。

①~③まではHeadingが同じ角度だけ左に回転している事を除けば、操作の方法は無風と変わりありません。

④の部分は大きく変わります。
インターセプト操作を行った後はHeadingは左を向いています。
そのHeadingのまま接地すると、左に向けて走行することになるため、Headingをセンターラインの方位に合わせる操作が必ず必要になります。
イラストの状況では右にラダーを踏む操作が必要です。


2つを並べて見ると理解が進むと思います。

着陸前に飛行機がずれていなければ上記のような苦労はないのですが、どんな達人でも必ずズレていると言って過言ではないと思います。
つまり上記のような修正をごく僅かに行ってセンターラインに再び乗る操作を行っているのです。
ここでは解説のために大きくズレている状況から、ギリギリのタイミングで大げさに修正を行っている事を御理解ください。


最後にこの風上に大きくズレた状況から修正する操縦をX-Planeで再現して動画にしました。
これをご覧頂くと、色々な発見があると思います。
なお、実機でこのような状況に陥ったらゴーアラウンドが推奨されます。
あくまで説明のため(動きを分かり易くするため)大きくひねり込んでいる事を御理解ください。
字幕をONにすると解説を読みながら動画を見ることができます。
画面右下にある、下図の一番左のアイコンです。

横風着陸 風上からのひねり込み

更に風下からの修正も動画にしました。↓

横風着陸 風下からのひねり込み

いかがでしょうか。
繰り返しますが、このように大きくズレていることはほとんど無いのですが、ほんの少しズレている事はよくあると思います。
そのようなとき、ごく僅かのバンクを入れて繊細な舵を使ってセンターラインにアラインして接地する時も、これまで説明してきたものと同じ操作を行っているのです。

最後に大型機も考え方は同じです。
違うのはレスポンスが良くないために早めに小さく修正を行うという点です。

これまで難しい横風着陸を解説しましたが、現代はX-Plane等のフライトシュミュレーターソフトのおかげで可視化が容易になり、以前に比べてはるかに伝えやすくなったと感じます。おまけに簡単に動画にでき、多くの人に配信できる世の中になった事を感謝したいと思います。

イラスト作成、動画作成のヒント

動画を合体して一つの動画にするソフトはVideoPadを使用させて頂きました。
動画はX-Planeで操縦してReplayファイルに一旦保存、その後Replayをしながら4つの視点で同時刻の様子を撮影、最後にVideoPadで合成しました。
慣れない作業に3日かかりました。

ついでに勉強するとしたら

Crosswind10ktを修正するCrab角は
あなたの乗務機種のCrosswind Limitは何kt、どういう背景から決められたのでしょうか
上記LimitでCrabのまま接地しても脚回りの強度は保たれますか
上記にGustは含まれていますか
Gustとは何でしょう
ILS ApproachにおいてギリギリのMimimumで見えたときに左右にずれていたときに、どれくらいのDeviationが許容されるのでしょうか?
低視程下でひねり込みを余儀なくされるときにはBankをどのように認識しますか?
あなたの乗務機種は、アプローチ~フレア姿勢で、何度Bankで翼端をこすりますか?
軸線がズレたまま接地した場合、どうして飛行機は横に偏向して走行しようとするのですか?
Wet Runwayの場合、軸線がズレていたらどうでしょうか?

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