アプリ PAPI の使い方 基本編 その2

さて、基本編その2ではPAPIの色変化を理解するに当たって避けては通ることが出来ない,地上温度とパスの関係について紹介しましょう。

 温度によって気柱が伸び縮みすることはパイロットの基礎課程で学習する題材ですが、これとPAPIの見え方は密接に関係してきます。
本題に入る前に以下の点を確認しておきましょう。

1 地面に対して角度が一定のパスには以下のようなものがあります。
  PAPIの光(2.42度 2.75度 3.25度 3.58度)
  GlideSlopeの電波
  PARの誘導パス

2 地面に対して角度が変動するパス(大気の温度によって変動)には以下のようなものがあります。
  パイロットが降下の指標とする3°パス
  VARO VNAVのパス(応用編で解説します)

2はとても大切な概念です。
このような現象が起こるのは飛行機が気圧を利用した高度計を基準にして飛行するためです。
例えば暑い日は気柱が延びているため、気圧高度計による3°パスは地面に対して3°以上の深いパスになります。
寒い日はその逆です。
(仮に将来GPSを利用した高度計がメインになった場合、このような現象はなくなるでしょうね)

理解を深めるために、youtubeで気柱の伸びを説明している動画を貼り付けます。
特に最初の動画は興味深いものです。
これは、上記2のようなVARO VNAV高度計を参考にした3°パスで最後までアプローチを行っているイメージです。
PAPIは赤4つになっています。





さて、アプリではこのややこしい関係を理解しやすいように一つの仕掛けを作っています。
左の赤い丸でくくったチェックボックスをクリックすると架空の障害物がグラフに現れます。

この障害物は滑走路から3nmの位置にある1000feetの高さの大変お邪魔な鉄塔です。
現実には全くあり得ないのですが、あえて表示させて温度を変えながら鉄塔を観察すると、このややこしい関係が次第にクリアになってきます。



左は初期設定の地上気温15度の時のグラフです。
鉄塔の高さは1000フィートです。
緑の線は降下の際に目標にする3°パスです。

次に地上温度を45度の超猛暑日にしてみましょう。
すると鉄塔の高さは850フィートになってしまいます。
実際には鉄塔の高さは1000フィートで変わらないのですが、気圧高度計を鉄塔の頂点に持参して高度を測ると880フィートになるというからくりです。
(10°c 4%で計算しています)
一方、緑の3°パスは上のグラフの鉄塔との関係からと比較すると深くなっています。
更にPAPIの角度と鉄塔の関係は変わりません。
つまり鉄塔の上に座っている人は常にPAPIは赤赤白白に見えます。

 鉄塔の上に座っている人になったつもりでもう少し想像してみましょう。
飛行機が毎回ILSやPAR以外の高度計での3°パスを正確に飛行している(鉄塔の上を気圧高度1000フィートで通過している)と仮定しますと、鉄塔の上にいる人にとっては温度によって通過する飛行機の高さが異なる事に気がつくことでしょう。
地上気温15度では飛行機はスレスレを飛行し、45度の猛暑日では150フィートの余裕があります。
そうです、ILSやPAR以外の、気圧高度を利用したアプローチを行う飛行機は地面に対して常に同じ高さで飛行しないのです。


さて、PAPIを絡めて考えてみましょう。
ここまでの解説から徐々に気がつかれたと思いますが、温度が変わると、仮に高度計の3°パスを飛行していてもPAPIの色の変わり方が異なってきます。PAPIの光線は鉄塔のように常に一定であるからです。
逆に、PAPIの赤赤白白のど真ん中を飛行している場合を考えてみましょう。
3°であると思って飛行していても、その日の温度によって目標とする3°パスより低くなってしまったり、高くなってしまうのです。

大変複雑な話ですが、大気が温度によって伸縮するという性質が生み出すやっかいな現象であります。
大気が存在しているために飛行機が浮いていられるのですから、不平をこぼすことは出来ませんが、同様の現象に以下のようなものがあります。

1 ILS アプローチでグライドスロープをインターセプトする地点は温度によって変化する。
2 ILS アプローチでグライドスロープに乗っているときに、定められた地点で高度計の読みを確認するが、温度によって変化する。
3 VARO VNAVアプローチでMinimumに達したときに、低温ではPAPIが赤3つを示し、高温では白3つを示す。

また、3°パスという言葉も実は曖昧です。
地面に対する3°パスなのか、高度計の世界の3°パスなのか話していて混同することもあると思います。
この辺は会話の空気を読んで判断するしかないと思います。

基本編その2では大気の温度による3°パスとPAPIの見え方を紹介しました。
次回は基本編その3として、PAPIとVisual Aimingを一致させるとどのような問題が生じるかについて、簡単に述べたいと思います。