アプリ PAPI の使い方 応用編 その1 PAPIとエイミングの関係2

 前回は、PAPIに追従している状態(PAPIの白白赤赤のど真ん中を飛行している状態)からいつエイミングに向かうのかという問いかけで終わっていました。

 これを説明するのに当たって、図を描いて行う方法もありますが、かなりの想像力を必要とします。
そこでこれまで試行錯誤して習得した技術を駆使して解説動画を製作しました。
3本の線が見えますが、緑はPAPI,ピンクはAiming,青はGlideslopeのPath(全て3°)です。
DA42で飛行しているため、速度は100ktです。
通常の旅客機は130~150ktであると思いますので、旅客機に乗務しているパイロットがご覧になると随分とゆっくりに感じられると思います。
また、右上と左上に線と飛行機の関係を表示しています。



①PAPIに追従している状況(On PAPI)
 PAPIの○○●●には幅がありますが、そのど真ん中を飛行している状況です。
滑走路に近づくにつれて、通常のAimingより奥に(先の方に)飛行機が進んでいることがわかると思います。つまり、若干高い状況です。
そのまま着陸しても大きくは伸びないのですが、望む接地点に接地しようとするときは、若干高いと感じられるはずです。


②On PAPIの状態からスレッシュホールド近くで急にAimingのパスに乗り換えようとして突っ込んでいる状況
 この操作はスレッシュホールド近くまで若干高い状況(AimingのPathに比較して高い)に気がついておらず、急に「高い」と認識してパスを修正しようとする時に発生します。
更に、スレッシュホールド近くのこの地点で、PAPIが○●●●になっていなければいけないと考えて、それまでの○○●●から急に突っ込んで○●●●にしようと考えても発生します。
この考えと操作は「PAPIの色合わせ」とも呼ばれます。
 これは特にジェット機では最も避けなければならない操作です。
動画のモデルになっているDA42のように小さい機体では操作が楽ですが、中型以上のジェット機になるといわゆる「慣性」という影響のために、突っ込んですぐ降下率を止めようとしても止まらずに、1000fpmを超えてGPWSに「Sink Rate]と言われたり、ハードランディングの要因になるからです。
特に右席操縦(副操縦士操縦)でこの状況が起こると左席の機長はテイクオーバー(安全のため機長が操縦を替わること)をする時間的余裕が無く、とてもヒヤヒヤします。
 動画はExcelデータから作りました。この突っ込みの途中では降下率が500fpmから700fpmに変化しています。


③On PAPIの状態から10秒ほどかけて緩やかにAimingのパスに乗り換えている状況
 理想的な操作です。
操縦に慣れると出来るようになりますが、完璧に出来ようになるにはおそらく数年はかかります。
Pathの変更は急激に行う必要は全く無く、このように徐々に行う事が出来るようになると着陸が安定します。

このようにPAPIのPathからの変更を行う事は望ましいのですが、それには奥深いものがあることに気がつかれたことでしょう。
何のために、いつ、どのように行うのか。
とても難しい課題ですね。

最後に強調しますが、このお話しの前提は、PAPIのPathに乗っている状況から始まっています。
つまり悪天で視程が悪く、スレッシュホールド直前までGlideSlopeに乗っている状況には適用できません。
この点も今後おさらいしたいと思います。


解説動画の製作には試行錯誤の上、下記の技術を使いました。

Pathを示す3°の3Dポリゴンを作る。
X-Plane上に3Dポリゴンを設置
X-Plane上の接地帯標識を日本方式に変更する
X-PlaneでAutopilotを使用してILSでアプローチをしているデータを(ExcelFile)取得する
データをX-PlaneのFDRファイルに変換、ファイルを修正して望むパスを作成する
FDRファイルを再生して、3つの異なった視点で録画する